エレキギターを演奏するギタリストにとって、デジタルマルチエフェクターの進化というのは、とても気になる出来事。
中には「アナログ命!デジタルマルチなど邪道!」というギタリストの方もいますが、それは人それぞれの好みとして・・・。
最近、
「他のギターやアンプの音を吸い出して再現する」というトーンキャプチャ機能
を搭載しているMOOER社のGE300というマルチエフェクターが気になり思い切って購入してみました。
2020年3月現在、フロア型のマルチエフェクターとしては
トーンキャプチャー機能があるのはMOOER社のマルチエフェクターのみ
です。
実際にステージで使った際の使い勝手や、それまで使っていたBOSS GT-8に比べて「こういう部分が足りないな」という部分も書いていきたいと思います。
BOSSのエフェクター使いが、MOOERのGE300に変えた理由
自分はBOSSのGT-8(2004年12月発売)というデジタルマルチエフェクターのみを、15年間使用してきました。
もちろんその間に故障などしましたが、その度に作った内部パッチを吸い出してから買い換える事3回。
それこそ内部のパラメータで知らない部分はない、というぐらいに使い倒しての15年間。
普通そこからの買い換えとしては同じようにBOSSのマルチエフェクター(現行最新モデルはGT-1000)を買い換えるはずなのです。
が、今回はなぜか新興メーカーであるMOOER(2010年設立)というメーカーのマルチエフェクターに強く惹かれました。
- 「とにかく小さいモン作りました。」
- 「とにかく安いです。」
- 「他メーカーの内部ソフトを丸々パクって裁判に負ける」
などなど、その節奏のなさ加減が私の大阪人気質にマッチしたのでしょうか(笑)
これは一度使ってみたいなあ、と思ってしまったのです。
また冒頭にも書きましたが、2020年03月現在、「他のギターやアンプの音を吸い出して再現する」というトーンキャプチャ機能を搭載してるのが、GE300しかなかったから、というのもあります。
GE300のトーンキャプチャ機能とは、簡単にいうとアンプのサウンドを丸々コピーするという機能
この「他のアンプをプロファイルして再現する」という技術は、2011年に「Kemper」というメーカーが出した「KEMPER PROFILING AMPLIFIER」という機種で話題になりました。
これは、例えば、お気に入りのアンプのあるスタジオに行くと、そのアンプのサウンドを丸々持って帰ってこれるというものです。
そして、そのプロファイルされたアンプのパッチはインターネット経由で入手出来る、という事実に時代の進化を感じたものです。
もちろん、それはあくまでも「似たサウンド」であって本物ではない、というのも理解してますよ。
ただ、その「サウンドの拡張性の高さと可能性」が、システムとしてアマプロ問わず、誰もが手に入れれる時代になったというのはスゴいなと思ったのです。
GE300は、いわばこの「KEMPER PROFILING AMPLIFIER」の独占と言われる音色取り込み機能を、今の所唯一搭載しているフロアエフェクターという事。
そして、なんかその節奏なさそうな社風(笑)に惹かれて、MOOER社のフラッグシップモデルであるGE300を購入することにしました。
GE300は、ネットで購入しました。
今回は、GE300を店頭で触れる機会が全くなかったので、いきなりネット通販で購入しました。
GE300が無事到着。意外にちゃんとしてるな・・・と思わせてくれる外箱
なんせ15年ぶりのマルチエフェクターの新規購入ですからテンションはあがります。
輸入代理店であるLep Internatinalの保証書。これで直輸入品ではない、という事がわかります。
アダプターにはMOOERの文字は一切入ってません(笑)
きっと汎用品で規格さえ合えばなんでもいいんでしょう。
こういう辺りからもなんとなくの大ざっぱさがプンプン匂います。
BOSSだと絶対に考えられへんもんなあ・・・と、アダプターを見て「ああ、海外製品だった。気を付けないとあかんかった・・・」と思うことが1つ。
3Pタイプのプラグなので変換アダプタが必要
同梱されていたアダプターの先は3Pプラグでした。
これはアースの為の物なので、最悪の場合折ってしまえばコンセントに刺さるようになるので使用出来ます。
が、ここは変換アダプターを購入しておくのが良いと思います。
海外製のギターアンプなどは3Pプラグの物が多いので、こういう事態には慣れてる人も多いでしょうけども注意!
カラフルなLEDを搭載したフットスイッチで視認性は高い
ビニール袋から出したGE300の姿です。
次は電源を入れてみましょう。
実際に電源を入れてみた所です。
起動して音が出る状態になるまでは15秒程度かかります。
ライブ中、不意に再起動になった時などでも、まあ許せる範囲、かな。
起動中はカラフルなLEDアニメーションが各スイッチにより展開されますが、それが良い意味で下品ですね(笑)
大阪には無駄な電飾バリバリの「スーパー玉出」というショップがありますが、それに近い物があります。
液晶はタッチパネルではありませんが、カラーでなかなか綺麗です。
表示モードを切り替えるとこの様に信号のルーティング図が表示されます。
これは最初の「SYNTH」以外は自由に位置を変更する事が出来ますが、これは16年前のGT-8から可能でしたので目新しさはなし。
16年前のBOSS GT-8とMOOER GE300を比較する
では実際にこのGE300を使用した感想を16年前のGT-8と比較してのメリット・デメリットを書いていきます。
BOSS GT-8とMOOER GE300のサイズ比較
一回り近く小さくなったので運搬・そして運用が楽になりました。
上が15年間使っていたBOSS GT-8で下がMOOER GE300です。
GT-8は幅が51.5cmで奥行きが26.1cm。重さは4.8kg。
GE300は幅が41cmで奥行きが20.1cm。重さは3kg。
GT-8にゴチャゴチャとツマミ・ボタン類がたくさん付いてるのが時代を感じます。
が、これは当時
「機械に弱いギタリストでもアンプ感覚で扱える様に」
というコンセプトだったと思います。
BOSSはこれ以降のGT-10からはどんどんツマミ類が減っていきます。
・・・・実際にこの部品、壊れる事が多くて故障すると勝手にパラメータが変わってしまったりする挙動になります。
結局、自分はこのツマミ類を使わずに、ジョグダイヤルの方でパラメータを変更してました。
GE300のパラメータを変化させるツマミは合計6つ(液晶パネル右側)とすごくシンプルです。
上部の大きなツマミは押し込めるタイプのスイッチになっていて、ツマミで大きなカテゴリを選んでスイッチをプッシュすると、下の5つの小さなツマミに割り当てられたパラメータを変化させる事が出来るようになります。
なので、操作系統は驚くほどシンプル。
液晶パネル下に配置されてるのはLEDインジケータ兼ボタンになってるので、視覚的に今どのエフェクトがオンになってるのかもわかりやすいし、オンオフやパラメータエディットモードに入るのもこのボタンです。
現場でイチからサウンドメイクをする場合、まず液晶下のLEDを全て消灯させてから「AMP」をオンにして基本的な音を作り、あとはエフェクトを足していけばいいので「えーと、あれはどこにあるんやろ」と悩む事がゼロになりました。
自分は背が高いが故に足も大きいので、スイッチとスイッチの感覚が狭くなったのとCTRLスイッチが上の段になった事にだいぶ戸惑いました。
なんせ、15年間もずっとGT-8のスイッチを踏んできたわけですし・・・・。
後述しますが慣れないが故のトラブルもあり、これから頑張って慣れていかないといけません。
あとは右側に設置されたフットペダルもかなり小さくなったので、細かい音量調整が出来る様になるまではもっと時間がかかりそうです。
音色比較
音色に関しては結局は個人の好みなので、良い悪いと一言で言ってしまうのは難しいです。
なので、この16年間でどういう音が好まれるようになったのか、という視点になります。
BOSSのGT-8はアナログ出力端子が1系統しかありませんでした。
ステレオアウトプットに対してボリュームが1つ。
そして、ヘッドフォン出力のボリュームはメインのアウトプットと連動しています。
このタイプのデジタルアウト端子が付いてるのがやっぱり時代を感じますね(笑)
センド/リターンはモノラルが1系統です。
これは16年前は「あくまでギターアンプに繋いで使うもの」というのが普通でしたのでこれで事足りたわけです。
ただし、出力先に応じた「出力先モード(アウトプットセレクト)」というものがありました。
GT-8の場合「アンプのインプット端子に繋ぐ用(JC-120、スモールアンプ、コンボアンプ、スタックアンプ)」、「アンプのリターン端子に繋ぐ用(JC-120、コンボアンプ、スタックアンプ)」、そしてライン入力に対する「LINE/PHONE」というグローバル設定が用意されています。
この「アウトプットセレクト」という考え方は現行モデルのGT-1000でも継続しており、プリセット数もかなり増えている様子。
そして「LINE/PHONE」を選んだ時だけ「スピーカーシミュレータ」がオンになります。
(逆にそれ以外の出力先を選んだ場合はスピーカーシミュレータを手動でオンに出来ません)
GE300の場合は非常に出力先が豊富になっています。
メインのアウトプットとは別に「XLRアウト」が独立して配置されており、またボリュームもメインアウト、XLRアウト、そしてヘッドフォンアウトがそれぞれに用意されています。
その代わり、BOSS製品の様にパラメータに「アウトプットセレクト」という概念そのものが存在しません。
グローバル設定にはイコライザーがあるのですが、このイコライザーも「メインアウト」「XLRアウト」「ヘッドフォンアウト」とそれぞれ独立させてあるあたり、その辺の音質調整は自分でやってくれ、という事なのでしょう。
それぞれの出力させる場所を自由に動かせるので色んな運用方法に対応出来ます。
自分はGE300をライブで使用する際には「キャビネット」をエフェクト群の一番最後に置き、キャビネットの手前からメインアウト→ギターアンプへ。
「キャビネット」以降を直接PAミキサーに送っています。
正直な話、ギターアンプがなくてもモニター環境がしっかりしている現場でもなんとかなりそうですが、まだそれは試していません。
という当時との設計思想の違いを踏まえての比較動画がこちらです。
GT-8は「LINE/PHONE」出力でオーディオインターフェイスへ、GE300は内蔵オーディオインターフェイスで録音しています。
フェンダークリーン系、そしてマーシャルのハイゲイン系の2つをすべて「50」のパラメータで弾いてみました。
キャビネット(スピーカー)も一応同じ物を選んでいます。
こうして弾いてみると、やはり16年前のGT-8はやたらハイがキツくてペラペラの音です。
GE300の方は高音も低音もバランス良く鳴っていますし、もう1本マイクが使えますのでサウンドメイクの幅はもっと拡がりますね。
MOOER GE300のメリット
搭載されているアンプのモデリング数がGT-8と比べて5倍(機種数)
この手のギターマルチエフェクターで話題になるのは「どれだけのアンプモデリング数があるのか」という事ですが、16年前のGT-8ではアンプ10機種で46モデリングが搭載されていました。
そこから16年間経ったMOOERのGE300にはなんと52機種106モデリングが搭載されています。
機種数だけでも5倍以上の選択肢が増えた事になります。
ただ、BOSS GT-8の場合はこのアンプモデリングを使用する際にA/Bチャンネルを個別に設定出来ました。
どういう事かと言うとAチャンネルにはクリーンサウンドの設定、Bチャンネルには歪み設定と個別にメモリーさせる事が可能で、それらを切り替えたり、A/B共にミックスして出力したり、はてはピッキングの強弱を検知させてA/Bを切り替えたり出来ました。
この機能と、CTRスイッチにA/B切替を割り当てる事によって実際の2チャンネルアンプだけでの運用と同じ事が可能でした。
この機能はBOSSの現行機種であるGT-1000ではディバイダーという機能に進化していて、アンプ以降のエフェクト配列ごと2つに分けてそれぞれ独立してコントロール出来る様になっています。
自分はごく一部の曲を演奏する時だけにA/B切替を使っていましたが、用途としては別にこれはなくても個人的には困りませんでした。
GE300の場合は1つのプリアンプ設定内では1チャンネルしか選べません。
BOSSのGT-8の場合はまずアンプモデリングを選んだ場合、ライン/スピーカー出力の時だけスピーカーシミュレータがオンになりますが、GE300の場合は「CAB(キャビネット)」として独立したパラメータがありますので個別にオンオフが可能です。
サウンドメイキングの幅の広さとしてGE300が強力なのはアンプ機種の上にさらに
- 真空管(10種類)
- キャビネット(43機種)
- マイク(21種類)※同時使用は2本
を自由に組み合わせる事が出来る上に、最新ファームウェアからはアンプ・キャビネットなどを更に追加出来ます。
これは16年前からすると、マルチエフェクターの設計思想そのものが変化した、と言えるでしょうね。
それぞれの「質」さえクリアしていれば、サウンドメイクで出来ない事はないのではと思います。
その106のモデリングを実際にライン出力した物を撮影してみました。
出力の際に軽くリバーブだけをかけてあります。
比較する為に全てのパラメータ(Gain,Bass,Mid,Treble)を50に、アンプモデルモードは「Original」で。
Tubeは「Normal EL34」を使用して、PresenseとBiasは0にして弾いてあります。
あと、BOSSもMOOERも実際のアンプを参考にしたにも関わらず、さすがにそのアンプ名をそのまま収録するわけにはいかないみたいで、アンプモデル名がパチモンみたいな名前になっています。
これはさすがに大人の事情って事はわかりますが、MOOERの場合は特にわかりにくい(例の訴訟の件で敏感になってるのかも)ので動画の方に実際のアンプ画像をプラスしてあります。
音色のキャラクター確認の参考にしてみてください。
出力先の幅広さ、そしてコントロールのしやすさは郡を抜いている
メインアウト、XLRアウト、そしてヘッドフォンアウトがそれぞれ独立してコントロール出来る利点は、ライブ現場での音作りが非常に楽になった事です。
今まではギター→エフェクター→ギターアンプという接続で、現場にPAシステムがある場合にはギターアンプにマイクを立てるという方法しかありませんでした。
しかし、このギターアンプにマイクを立てるというやり方では、現場のPAオペレータさんに内部モニターの音色を委ねるしか方法がなかったのです。
僕自身はこの「マイク録りした音がモニタースピーカーを通して出てくる音」が嫌いでした。
上手なオペレータさんだとその音色もイコライジングして聞きやすくしてくれるのですが、現場のミキサーのスペックなどでそれが叶わないケースも多々あります。
そうなるともうモニタースピーカーから気に入らない音色が返ってきてても、我慢するしかありませんでした。
最近のマルチエフェクターはメインアウトとは別にXLRアウトが付いてるのがほとんどです。
BOSSの最新フラッグシップマルチ、GT-1000も「サブアウト」という名称でXLR端子が付いてます。
自分はGE300に変えてからは、全てのエフェクトパッチでキャビネットを一番後ろに配置します。
メインアウトはキャビネットの直前からギターアンプに送ります。
そして、キャビネットを通した音はXLRアウトから直接PAミキサーに送っています。
これにより、ステージ内の自分のモニター(ギターアンプ)としての音色、そしてPAミキサー(ステージ上のモニタースピーカー含め)に送る音色・音量を個別にコントロール出来るようになりました。
PAに送る分の音色だけキャビネットとマイクの設定を変更出来るのはなんとも楽!
PAに送る分だけステレオアウト、なんて事も可能です。
しかも、メインアウトとXLRアウトは個別にグローバルEQをかけることも可能ですから、現場での音色補正も外音と中音を完全に分けて行えます。
これが、GE300に変えた事によって自分が得ることの出来た最大のメリットでした。
トーンキャプチャ機能は使いこなしが難しいがそれなりに優秀
このMOOER GE300の売りである「トーンキャプチャ機能」ですが、試そうにもエレキギターをストラトキャスターしか持っていない事もあり、エレキギターでの試奏は出来ていません。
一度、エレアコをトーンキャプチャしてエレキギターで再現出来るのかを試してみましたが、そこまで劇的に「スゴい!」とは思いませんでした・・・
これはもちろんキャプチャーしたギターの出力先がエレキギターのアンプだったりするのも原因だとは思いますが、作り込む事によってもしかしたら使える音になるのかもしれません。
なんせこのトーンキャプチャ機能は
- ギターの音色そのもの
- アンプや歪み物ペダル
- IR(スピーカーキャビネットインパルスレスポンス)
という3つのキャプチャモードを備えていますし、最新ファームウェアに更新されてからはスマートフォンアプリで取り込んだ音色やインターネット経由で入手した物までも取り込めるので可能性はまさに無限大です。
ライブ演奏の際に、例えばほんの4小節だけアコギの音が欲しい、という場合などには使えるのではないでしょうか。
さすがにキャプチャーした音色だけで完全にアコギの代用になるか?と言われると・・・自分は無理があると思いますね。
やっぱりアコギとエレキは違う楽器ですし個人的には代用は利かない、と思ってますがこれもいわば個人の好みです。
大丈夫な人にとっては大丈夫なのでしょう。
エレキギター同士(レスポールを取り込んでストラトキャスターで鳴らす、など)では大丈夫なクオリティです。
これも色々と実験していって作り込めば面白いかもしれません。
例えば、CD音源のギターイントロをキャプチャしてそれを再現出来るのか?とかエレクトリックシタールをキャプチャしたらどうなるんだ、とか「発想の遊び」の友としては最高のツールなのではと思います。
2020年の時点ではこの機能を有してるフロア型のマルチエフェクターはこのGE300だけですからね。
MOOER GE300のデメリット
チューナー、ルーパーの起動スイッチが事故を招きやすい
これはライブ中に何度かやらかしてしまった事ですが・・・・
GE300の場合、チューナー起動が下段のAとBのスイッチを同時踏みする事なのです。
これは長踏みではなく踏んだと同時に起動するレスポンスの良さですが、これが逆に事故を招くケースに。
例えばGE300から離れた所でギターソロを弾いていて立ち位置に戻りつつスイッチAを踏む、という場面。
こういう場面はライブをしているとそれなりにあると思います。
が、この際にスイッチBも同時に踏んでしまうとチューナー起動してしまいます。
チューナー起動の際に音を出さない設定にしていると、見事に音切れ事故が発生するわけです。
そして、CとDの同時踏みではルーパーが即座に起動するのですがこれも恐ろしい。
自分が経験したケースはこうです。
- スイッチCを踏む際に同時にDを踏んでしまいルーパー起動
- 「え?なんだこの画面」と思ってスイッチAをまず踏む(これでルーパーの録音が開始)
- 画面が変わらないので、よく見るとCTRL4が「EXIT」となってたのでそれを踏んでルーパー画面から抜ける
この場合、バックではずっと録音がされているわけです。
そして、2回目のステージの途中でちょうどルーパーの録音時間を使い切り、再生が始まる・・・
いきなりギターサウンドがMC中に鳴り響くという大事故でした。
あれ以来、ステージの最後にはルーパー画面を起動して録音が動いてないかチェックするようになりました。
チューナー起動もルーパー起動も各自CTRLに当てはめる事が出来るようになっているんですが、それならこの「同時踏み」での起動をオフや長踏みに変更出来るように将来のアップデートで実装してほしいものです。
BOSSの場合はこういう細かい機能のオンオフは実に細かく設定出来る(GT-1000の場合、ルーパーを使用する際には前もってオンオフのスイッチを手動で割り当てる必要がある)のですが、この点MOOERはやっぱり大ざっぱな感じがしますね。
「いらない物はオフに出来るように」というよりは「こんだけの事出来ますんで!用意しときましたで!」というオオサカテイストを感じてしまいます。
GE300を使っていて、今一番必要を感じてるのがこのフットスイッチの機能改善です。
アップデートで簡単に出来そうなもんなんですがねえ。
CTRLに割り当てれる機能がBOSSに比べてかなり貧弱
これはマルチエフェクターの使い方にもよりますが、BOSSのマルチの良い所は「CTRLスイッチに割り当てる機能の幅広さ」です。
例えば、CTRLを踏んだ時に
- ディレイタイムを50msから360msに
- プリアンプ出力を50から80にアップ
- 音量を上げるためにマスター音量を90にアップ
とこういう感じで8つまでを1つのCTRLスイッチのオンオフに割り当てる事が出来ます。
ショートディレイかけた軽い歪みでバッキングしていて、CTRLを踏んでソロって感じですね。
割り当てるパラメータの広さに関しては16年前のGT-8から健在でした。
ところが、MOOERのGE300はCTRLに割り振れるのは「各エフェクトのオンオフのみ」です。
各エフェクトのパラメータ値までは割り振れないんですね。
なので、すでにオンになっているエフェクトのパラメータ値をCTRLを踏む事によってコントロールは出来ません。
これはマルチエフェクターを鬼の様に使い込むような人にとっては致命的な気もします。
GE300のCTRLに割り振れる機能は以下です。
- エフェクトブロックのオンオフ(同時は7種類まで)
- タップテンポスイッチ
- チューナーのオンオフ
- ルーパーのオンオフ
- EXT2インプットのオンオフ(EXT2端子にアンプのチャンネル切替を接続してる場合、これでアンプのチャンネルを切り替える)
- ミュート
- サブパッチ(エフェクトのオンオフをいくつか組み合わせてメモリー出来る。スイッチャー機能に似た感じ)
自分はエフェクトのオンオフのみで賄えるような使い方しかしてないので、この点はクリアしてます。
が、チューナーのオンオフとかルーパーのオンオフがこちらにあるなら、じゃあ同時踏み機能もオフに出来るようにしてくれよと思うんですが・・・この辺もやっぱり大ざっぱな感じがしますね(笑)
CTRLに割り当てる機能も今後のアップデートにて追加されればいいのですが。
FX系のエフェクトの種類が16年前のBOSS GT-8と比べても貧弱
FXとしてまとめられてるエフェクトはフェイザーやフランジャーなどの揺れ系からサブの歪み物まで様々な物があります。
このFX系こそ各メーカーの特徴が出るのですが、BOSSもMOOERもそれぞれの個性があります。
が、やはり長年のノウハウがあるのかBOSSの方が実戦に使えるように作り込まれている気がします。
16年前のGT-8と比べてもちょっと困ったなあ、と思うのがインテリジェント・ピッチシフター(ハーモニスト)がMOORE GE300には収録されてないことでした。
ハーモニストは曲のキーを設定するとそのスケールに応じたハーモニーをつけてくれるエフェクトですが、GE300はピッチシフター(モノ・ポリ対応)しか使えません。
マニュアルにもピッチシフターの所には「クラシックワーミーサウンドを作るドライピッチシフター」と書かれていますので、精密なピッチを微調整する「ファインピッチ」パラメータもありません。
この事からもこれはフットペダルに割り当ててワーミーペダルとして使う為だけの物だと思います。
よって曲のキーに合わせたツインリードフレーズなどが必要な場合、GE300単体では現在の段階では無理という事になります。
あとはシタール・シミュレータ(エレクトリックシタールの音をシミュレートする物)も収録されていなかったのも個人的には寂しい所です。
MOOERの場合、イコライザー系がやたらと作り込まれていて音色そのものをイジる事が出来る感じがしますね。
飛び道具系のエフェクトはBOSSの方が16年前から種類が多くなっていますが、これを全部使用する様な人もめったにないかと思いますので、ここは購入前にマニュアルを眺めて「自分が欲しいエフェクトがあるか」をチェックすれば良いでしょう。
しかし、MOOER GE300にはネット経由での「ファームウェアアップデート」で機能が追加される可能性もあります。
今後のアップデートに期待ですね。
どんな人にMOOER GE300がオススメか
ギター初心者、特に初めてのエフェクトとしてはオススメ出来ない
これはMOOERだけではなくて、全てのマルチエフェクターに言える事ですが、1つ1つのエフェクトの働きを理解していないうちからマルチエフェクターを利用するのはとても敷居が高いかと思います。
「これを買えばあのCDと同じ音が出せる」という安易な考えの内からフラッグシップモデルのマルチエフェクターを導入すると、間違いなく使いこなせずに無駄になるからです。
最低限として「歪み物(オーバードライブ、ディストーション)」「空間系(ディレイ、リバーブ等)」の2つのカテゴリーを理解した上じゃないと、マルチエフェクターを導入する段階ではありません。
「バッキングはコンプレッサーだけでクリーントーン、ギターソロで深い歪みとディレイをオンにしたいけどもその時にはコンプレッサーを切りたい」という場面で頭を悩ませる様になった段階が、マルチエフェクターかスイッチャーの導入の時です。
ギターソロを弾き出す前にコンプレッサーを踏んでオフに、そしてディストーションとディレイの2つを踏みギターソロを弾き、弾き終わるとまた同じ動作をしなければならない事が面倒くさいな・・・となるのは当然です。
その際にマルチエフェクターだと1番スイッチにコンプレッサーだけを、2番スイッチにディストーションとディレイを配置しておけば、それぞれ1回ずつスイッチを踏めばいいわけですから。
その段階でもフラッグシップモデルである必要性は全くありませんので、それぞれメーカーのエントリーモデルで充分です。
もちろん、演奏するジャンルによってもエフェクトの必要性は変化します。
アンプの音色だけで充分に対応できるジャズギターにはマルチエフェクターは必要ありませんからね。
複数のバンドを掛け持ちして、あらゆるジャンルの音色を必要とする人にオススメ
マルチエフェクターをオススメ出来る人、として思い浮かぶのは複数のバンドを掛け持ちしてるタイプのギタリストです。
あるバンドではゴリゴリのロック、あるバンドではカッティング主体のポップスという幅広い活動をしているタイプの人ですね。
特にロック系のジャンルだと様々な歪みの音色を求められるケースが多いですが、GE300は豊富なプリアンプの数、そしてトーンキャプチャ機能での音色の拡張性で無限に対応が可能です。
特に音色でのギター持ち替えがある場合にはトーンキャプチャ機能を駆使して、ギター1本で対応する事も可能になりますからこれは数あるフロアタイプのマルチエフェクターの中でGE300を選ぶ最大のメリットでしょう。
他のフロアマルチと比べて、歪み系音色のバリエーションの上限がなく自分でいくらでも作れるのが圧倒的アドバンテージです。
ただし、先ほどデメリットの部分で書いた様に、他のマルチエフェクターと比べて「使い勝手」の部分が色々大ざっぱというのが残念な所です。
それらを差し引いても「歪み系音色のバリエーションをいくらでも増やせる環境」が欲しい人に最もオススメ出来ますね。
CTRLスイッチでパラメータを細かくいじる人はBOSSの方がオススメ
現段階(ファームウェア2.0.6)では、CTRLスイッチに割り当てれるのは各エフェクトのオンオフだけなので、各パラメータを細かくコントロールしたい人はBOSSのGT-1000が有利でしょう。
価格は3万円ほど高くなってしまいますが・・・・・
例えば
- バッキングでは軽い歪みとコンプレッサー、ディレイは80ms
- ソロ時には歪みを100に。コンプレッサーオフ、ディレイタイムを360ms
というのをGE300ではCTRLスイッチを踏むだけで実現出来ないからです。
今後のアップデートでどうなるかはわかりませんが、これはぜひ実現してほしいですね。
私自身は15年ぶりに買い換えたマルチエフェクターとして時代の進化をとても感じました。
もちろんまだ全ての機能を使いこなせているわけではありませんが、これも使っていく内に様々な発見をしていくでしょう。
「今のマルチエフェクターはどうも音色の幅がなあ・・・」と感じてる人にとって可能性が無限に拡がるのがこのGE300の拡張性です。
ぜひ一度、楽器屋さんなどで音を出してみて下さい。
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